行きつけの喫茶店が閉店して、1万年くらいの歴史が閉じた。
と言っても、地域の区画整理のため周囲一帯が全て店閉めを余儀なくされた、という経緯なので、喫茶店は夏を開けたらまた別の場所で再開するのですが...
古き良き、みたいな店構えが消滅してしまうのはちょっと悲しい。
芥川龍之介の短作に「しるこ」というのがある。
「おしるこ最高~!ヒゲの洋人も全員しるこ食え(おもしれーからw)!」という話。芥川龍之介 しるこ
その一節に、「ここ最近じゃ美味しいしるこを出す店はどんどん無くなって、代わりに大してもない珈琲なんかを出す洋風かぶれの喫茶店が増えてしまった」というのがある。
失われつつある文化風情に思想の上でどうにかしがみつこうとする、人間の愚盲さみたいなものが感じられて良いですね。本能的な性なので仕方ないのですが。
いつの時代でも、あらゆる人間が「もうこれ以上の発展はしょうもないからやめましょう、今のままでも生存は出来るんですからね」という歪んだ正論を掲げて停滞を望んでいることは分かるし、特に自分はその気が他人より強めだということも理解しているので、理解して、最大限に同情してやった上で泣きながら蹴り捨てて進歩していくしかないですね。
永遠にしがみつくといえばレヴュースタァライトですが...
最近は2000~2005, 6年くらいのWebニュースや個人サイトなどを漁ってはヘラヘラ笑っていたりします。
特に好きなのは秋葉の変遷を語る2ちゃんのスレの過去ログ。
各年代で侮蔑の対象とされていた層が、数年経って新たな時代ではまた新たな層を侮蔑して排斥しようとする様が一生目で終えて美しくすら思える。
とにかく行きつけの喫茶店には、よくあるチェーンの店では味わえない良さがあった。
外壁にへばり付いた看板の文字は明らかに古ぼけていて、そこを目指して歩みを進めるだけで現実と切り離された空間に誘われている様な性があったし、ドアを開けて入った店の中はどこも煙草のヤニでうすら黄ばんでいる、あの感じが好きだった。
ので、移転とはいえ建物が消滅してしまうのは悲しい、でもいずれは今世に蔓延ってるチェーンの喫茶店の感じを、懐かしむ時代が来るのだろうか。
いや、こねーな。だってチェーンなんて全然良くないんだもの。カス。
経営リスクは私には負えないため、何とも言い難いですね。
これからは行きつけの喫茶店2に行くことにします。