結論:Mr. マリックが怪しい
導入
「ひみつのアイプリ」のアイスマイリンというユニットの、特にリンリンさんが好きで、よく「賢いのはクラブ」の記事を読み返している。
何故なら面白いから。今日も相変わらず面白かったのだが、ふと以下のパートが気になった。
先ほどのGoogle検索の例と合わせると、ネットにおけるエポックメイキングがこのツイート(当時)のバズ(原文は既にないがカウント系のbotを見る限り3000以上ふぁぼられている)によるものと思われる。つまり、2013年に呟かれたこれがバズり、自動botなどでひたすらコピペされた結果、クラブ=知識が定着した可能性が高い[2]。
コピペの源流あるのかないのか調べてみた!
この「原文は既にないが」という部分が特に目に留まり、コピペの源流が本当に無いかどうか、実際この目で確かめてみようと思い試しに記事に記載のあった原文の一部
"スペードは死、ハートは愛、クラブは知識、ダイヤは富"
で調べてみると、原文らしきものが確認出来るどころか2013年より以前、2011/11/04に同一内容のつぶやきが確認できた。

上記画像に添付したつぶやきより以降のものはほぼ全て「便乗ですが~」の方のパクツイであったことから、パクツイ常套句と化したこのフレーズの真の始まりは一番下の「トランプ~」であるとみなしてよいだろう。
広めたのが誰なのか調べてみた!
パクツイの原文無くないんじゃん!という話はさておき(本当にソレが原文かどうか判断するのは難しいため)、「2011年ごろに原初の内容が確認できる」ということ自体は元記事「賢いのはクラブ」内脚注2で示されている以下内容と合致している
実際、Xにはこれ以前にクラブを知識の象徴などと述べているポストは3点しか残っていない(2点は間違いなく遊戯王ZEXALにかこつけた投稿)。
(
個人的に2011/11/04のつぶやきを投稿していたアカウントの過去ツイ(「トランプ 知識」、「クラブ 知識」など)を確認したところ、確かに遊戯王とトランプを紐づけたつぶやきが多いことが分かった。25歳無職はキャットちゃんが好きです。ロミンちゃんも。
)
ため、( ´_ゝ`)フーンで話を終えようかとも思ったが、折角なので更に踏み込み、元記事で保留となっていた以下の仮説
よって、Yahoo知恵袋から2010年末〜2011年初頭にクラブ=知識と一般人に刷り込む何らかのきっかけがあったのではないかという仮説が立てられる。
について調べてみようと思い、改めて「トランプ 知識」というより広範な語句で、より期間を遡ってTwitterで検索をかけた。
すると2011年よりも以前からチラホラとその説に言及しているアカウントは複数存在していることが確認できた。
見づら過ぎるからダークモードやめた。

検索結果で特に気になったのは2010/12/04に複数のアカウントが同時に「トランプの豆知識」について呟いていること、そして「Mr.マリック」の名前が言及されていることである。
Mr. マリック調べてみた!
ここから「この日にテレビで何らかの特番があり、その中で氏が知識について言及したのでは?」と推測するのは容易であるため、Googleで「Mr. マリック 2010/12/04」で検索したところ確かに同日付で以下の番組が放送されていたことが分かった。
Mr.マリックのTV出演情報 10ページ目 | オリコンニュース(ORICON NEWS)
2010-12-04
先輩ROCK YOU~心ゆさぶれ! ゲスト:Mr.マリック
日本テレビ系列 23:00~23:30
更に、同日の放送を見ていたであろう個人のブログ記事でも以下の様にハッキリと「豆知識」について言及されていた。
さらに マリックさんのお話は続きます。
ダイヤは 財産 富を表し
ハートは 愛
クラブは 知識
そして スペードは 死を 意味します。
ここまでくれば「クラブは知識」という言説を日本社会に広めた立役者はMr. マリックであると考えられそうである。
「発祥者」についてを定かにする事は出来ない。しかし2010年といえば最盛期を過ぎたとはいえまだMr. マリックがお茶の間でブイブイ言わせていた時代、更に言えばテレビの情報がお茶の間から世界へ広まることが容易だった時代であり、「大衆に刷り込まれる」要因、「広めた者」が誰であったかという問いに対して、これ以上の答えは考えられないだろう。
一応、テレビ放送よりも前に言及している場所がないかとその後も検索を続けていたところ、上記より早いものとして以下の個人ブログでの言及が確認出来たが、やはりこちらにもMr. マリックの名前がハッキリ載せられていた。
このマークは、ほかの意味も持ってるって。
ダイヤは財産、ハートは愛、クラブは知識、スペードは死。
(Mr.マリックさんによると)
記事の投稿が2010/08/13であるため、恐らく上記の番組放映より前からテレビやラジオ、あるいは著作なども含めて氏が「トランプのスートについての豆知識」を披露していたのであろうと考えられる。
また、上記「トランプ 知識」で検索した画像内の2010/12/04放送時のつぶやきを見ると多くのユーザが「凄い」「面白い」など肯定的な反応をしているため、それまでこの知識自体が広まっていなかったことも伺える(既に十分に広まっていた場合、例えば令和現在にテレビ等で「隠れた豆知識」として披露していたなら恐らく大衆の反応は「知ってる」「しょうもない」など否定的な反応になるはずであろう)。
結論:"賢いのはクラブ"はどうして生まれたか?
ここまでで
・「クラブは知識」を広めたのはMr. マリック
・Mr. マリックが広めるまでは大衆はそのことを知らなかった
という説が得られたため、本題の「"賢いのはクラブ"というフレーズが生まれた理由」は以下のような流れであったと考えられる。
---
(2010年(観測上最も早いのは8/13)):Mr. マリックがテレビやラジオ、その他出演するイベントなどでトランプのスートの隠された意味、「クラブ = 知識」という情報を披露する
(第一波、ここまでは恐らくテレビを見ていた人間のみに共有された知識であり、積極的にこれを披露する者はいなかっただろうと考えられる)
↓
(2011/03/13)Twitterで、あるアカウントが遊戯王のアニメ視聴中(該当つぶやきの前後を確認したところ、そうであるようだった)にトランプの豆知識として"スペードは死、ハートは愛、クラブは知識、ダイヤは富"という並びのフレーズを含めた豆知識をつぶやく
↓
(2012/01/15)同一の並びのフレーズを用いて、別のアカウントが便乗して同内容を有益なこととしてTwitterでつぶやく
↓
(2012/01/15)上記つぶやきがバズり、少なくともfav1000を獲得し、多くのツイッタラーの目に留まる
(第二派、これによってテレビ以上の影響力を持ったインターネットを介して時間/場所を問わずあらゆる人間に知識が広まっていく)
↓
(2012/01/15以降)更に上記つぶやきをパクツイした業者系botアカウントが定期的にバズる → パクツイ → バズる → パクツイを繰り返し多くのオタクの脳に真実として刻まれ、インターネットを超え世代を超えた日本中へその知識が広まる
......
↓
(~2024年、ニュースタージョーカー初披露より前)楽曲歌詞作成時に「そういえばトランプのクラブって知識らしいな...」と思い歌詞中ダークリンリン / 四之宮リンリンパートとして「賢いのはクラブ」というフレーズが採用される
---
以上。
今後の展望
今回の調査で、あくまで「仮説」としてニュースタージョーカーのあのフレーズの誕生要因を把握することが出来た。
しかし、それでは「Mr. マリック自体はどこでその知識を手に入れたのか?」という謎が残る。
ともすると「テレビ向けにでっちあげたか?」等と邪推してしまうかもしれないが、ひみつのアイプリの楽曲の歌詞に遠縁ながら影響を与え、同コンテンツの発展に寄与していたかもしれない氏に対して不誠実な態度を取ることは許されない。
過去のテレビやラジオを遡って確認することが非常に困難であるので、今後は氏の著書に同様の知識も含めて更に深い記述が無いか確認してみたい。また、Mr. マリック氏はYoutubeチャンネルで動画投稿
も行っている。
動画本数はかなり多いため今回はそれらすべてを確認することは避けたが、時期を改めてすべて確認してみるのも良いかもしれない。
さらに別の角度として、今回はMr. マリックというビッグネームを掴んだことで当人に関する内容ばかりを深堀りしていたため、彼に影響を与える存在、例えば他のマジシャンタレントなどを調査するというのも手として考えられるだろう。
なにはともあれ、今後も「賢いのはクラブ」という最高フレーズ誕生の要因についての更なる調査が必要である。
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2026/04/09 追記
媚び売ってオチ付けた後に追記するのちょっとヤだったけど真摯には真摯に向き合う。
本記事の調査を受けて原記「賢いのはクラブ」編集者が再調査を行ってくれて、やはりマジシャン方面で調査するのがよさそうということが分かった。
結論だけ先に言ってしまおう。マジックに造詣が深い推理小説家、泡坂妻夫の小説「曾我佳城」シリーズにまさにそのものズバリの言及が出てくるのである。
"カードの各スーツにも意味があります。ハートは愛を象徴しています。クラブは知、スペードは死を表します"
ーー泡坂妻夫『天井のとらんぷ』
上記を受けて、自分の方でも記載の文言で再度インターネットを検索したところ、以下のブログ記事に辿り着いた。
個人でまとめている手品系のブログだったが、そこにもやはりトランプのスートの意味、「クラブ = 知」であるとする内容が記載されていた。
また4つのマーク、例えばハートであれば「愛」、ダイヤは「富」、クラブは「知恵」、スペードは「死」を表しています。これらを総合して...
ブログ記事自体は「1998/9/8」となっているため、上記「天井のとらんぷ」よりも後にはなるが、ページ下部に気になる文言がある。
スライディーニの原案では、現象の中で説明した「トランプと暦の話」はありません。あれは私が勝手に付け加えているだけです。(笑)......
......なお、私がこの種の話を初めて知ったのは、気賀さんの作品集にあった「トランプ物語」からです。これは1972年に、天海賞受賞記念に発行された『気賀康夫作品集』にあります。これに類似した話はいくつかあり、つい最近では、メンタルマジックを専門にやっているBob Cassidyのビデオ、"Mental Miracles"を見ているときにも出てきました。海外では比較的よく知られた話のようです。上の「現象」で紹介した話は、気賀さんの話とボブ・キャシディの話を合成して、私がでっち上げた話です。(笑)
「トランプの豆知識」について記載のある情報源として、新たに「気賀康夫作品集」なるものの存在が分かった。発行年は1972年と「天井のとらんぷ」より更に古いため、こちらをあたれば何か手掛かりが見つかるかもしれない。
ただし、上記ブログで「"トランプと暦の話"は勝手に付け加えているだけ」、「"現象"の部分は完全なでっちあげ」「この種の話」と曖昧な記述になっているため、実際に「気賀康夫作品集」に記載があるのは暦関連の、「数字を足すと365日」、スートはそれぞれ春/夏/秋/冬」という部分だけかもしれない。
特に記載がないようであれば今度は名前の挙がった海外のマジシャンを洗うという手もあるが、「ボブ・キャシディ」というのはこの時点で最近の、と書いてあるため手掛かりにはならず、こちらはかなり骨が折れそうで非現実的かもしれない。
しかし、少なくともここまでくれば「クラブ = 知」であるというのは手品師由来であると考えてほぼ間違いなさそうである。
ダークリンリン、俺たちをどこへ連れて行くつもりなんだ...